04 November 2019

空家の管理サービス

空き家に係る譲渡所得の特別控除の拡充・延長

 

空き家の発生を抑制するため、平成31年度与党税制改正大綱において、相続により生じた空き家の譲渡に係る特別控除の特例措置が拡充・延長されることが明記されました。

●概要

相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限りその敷地を含む)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は取壊し後の土地の譲渡益から3,000万円を控除することができます。

また、本特例措置は2019年12月31日までとされていた適用期間が2023年12月31日までに延長されることとなり、特例の対象となる相続した家屋はこれまで被相続人が相続の開始直前において居住していたことが必要でしたが、老人ホーム等に入居していた場合(一定要件を満たした場合に限る)も対象に加わることとなりました。
この拡充については2019年4月1日以後の譲渡が対象となっています。

●改正の背景

近年、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす可能性がある空き家の数が年々増加し、相続人が使用する見込みのない放置された古い住宅が周辺の生活環境に悪影響を与えることを未然に防止する必要性が認識されていました。

その中で、平成28年度税制改正において、空き家の発生を抑制するために被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例が創設されました。

これは、相続又は遺贈によって取得した被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を譲渡した場合で、一定の要件に該当する時は居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例の適用を受けることができるようにするものです。

相続空き家の特例の適用対象となる被相続人居住用家屋とは、相続の開始の直前において当該相続又は遺贈に係る被相続人の居住の用に供されていた家屋とされています。

そのため、その被相続人がその相続の開始の直前において老人ホームなどに入居して既にその家屋を居住の用に供していなかった場合には、被相続人居住用家屋には該当しないものとされていました。

しかし、被相続人は相続開始の直前において老人ホームなどに入居していることも多く、被相続人が家屋に住まなくなった理由の中で老人ホーム等の施設に入居したことが14.4%で、これは死亡を理由とするものの64.2%に続く割合となっています。

今回の改正では、老人ホーム等に入居した場合でも一定の要件に該当する時は、相続空き家の特例の適用を受けられるようなりました。

●相続した家屋の要件

・相続開始の直前において被相続人が一人で居住していたもの
税制改正により平成31年(2019年)4月1日以降の譲渡については、下記2つの要件を満たした場合も被相続人が相続開始の直前に居住していたものとして認められます。
①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始の直前まで老人ホーム等に入所をしていた
②被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前までその家屋についてその者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがない
・昭和56年5月31日以前に建築された区分所有建築物以外の建物で
・相続時から売却時まで、事業、貸付、居住の用に供されていない
・相続により土地及び家屋を取得する

●譲渡する際の要件

・譲渡対価の額の合計額が1億円以下(共有で譲渡する場合には合計額が1億円以下)である
・相続人が耐震リフォームをして売却すること、又は、相続人が家屋を取壊して売却する

●他の特例との適用関係

・自己居住用財産の3,000万円特別控除又は自己住居用財産の買換え特例のいずれかとの併用が可能(同一年中に空き家の3,000万円特別控除と自己居住用財産の3,000万円特別控除とを併用する場合には、2つの特例合わせて3,000万円が控除限度額となります)
・住宅ローン控除との併用が可能
・相続財産を譲渡した場合の相続税の取得費加算とは選択適用

●拡充・延長された点

老人ホーム等に入所をしたため被相続人の居住の用に供されなくなった家屋及びその家屋の敷地の用に供されていた土地等は、要件その他一定の要件を満たす場合は相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例が適用され、さらにその適用期限が4年延長されることになりました。

①被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、相続開始直前まで老人ホーム等に入所していた
②被相続人が老人ホーム等に入所した時から相続開始直前まで、その家屋にその者による一定の使用がなされ、かつ、事業や貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがない

●3,000万円特別控除の適用を受けるための手続き

2段階で申請を行います。
まず空き家の所在する市区町村で空き家の確認書を発行してもらい、その確認書を確定申告に添付して税務署に提出します。

【空き家の所在地の市区町村に申請】

確認書交付のため市区町村に提出する書類(建物を取り壊す場合)
・被相続人居住用家屋等確認申請書
・被相続人の除票住民票の写し
・当該家屋の取り壊し・除却・滅失時の相続人の住民票の写し
・当該家屋の取り壊し・除却・滅失後の敷地等の売買契約書コピー等
・当該家屋の売却工事の請負契約書の写し
・いずれかの書類(電気ガスの閉栓証明書、水道の使用廃止届出書、宅建事業による空き家でかつ除去または取り壊し予定があることを表示して広告していることを証する書面の写し)
・取り壊し・除去・滅失時から敷地等の譲渡時までの当該敷地等の使用状況がわかる写真
・取り壊し・除去・滅失時から敷地等の譲渡時までの間の当該敷地等における相続人の固定資産課税台帳(または固定資産税課税証明書)の写し

【譲渡翌年2/16~3/15に確定申告】

税務署に提出する書類
・被相続人居住用家屋等確認書(確認書交付のため市区町村に提出した書類)
・確定申告書
・譲渡所得の金額に関する計算明細書
・登記事項証明書等
・売却契約書のコピー等
※家屋を取り壊し更地にして譲渡する場合は、耐震基準適合証明書等」は不要
※平成31年4月1日以降は必要書類が変更されている可能性があります。

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